「マイホーム購入を考えているが、住宅ローンの支払いが心配」という声は、マイホームを検討する多くの方から耳にします。
特に収入に見合ったローンの額や家計への影響は、慎重に判断しなければならない重要な要素です。
今回、「4300万円の住宅ローンを検討しているが、不安がある」というお問い合わせをもとに、具体的なポイントとアドバイスを整理しました。
以下に、お問い合わせ内容を簡潔にまとめ、それに対する見解を詳しくご紹介します。
お問い合わせ内容の要点
- 家族構成:夫41歳(年収450万円)、妻41歳(非常勤保育士・年収100万円前後)、娘5歳(来春小学校入学予定)。
- 現在の支出:家賃8.5万円、駐車場3,300円、共益費3,500円、光熱費・通信費・車関連費で約4万円強。車は2台所有(1台はローン残債100万円)。
- 購入希望物件:土地建物合わせて4300万円、太陽光リース契約付き(15年後に所有化)。ローン試算は月11.5万円(ボーナス払いなし)。
- 不安点:ローン支払いが定年後も続くこと、現在アルバイトを掛け持ちしている状態で家計への負担が心配。
1. 住宅ローンの目安:収入の25%ルールとは
一般的に、住宅ローンの年間支払い額は年収の25%以内が望ましいとされています。
この目安を参考にすると、現在の年収(ご夫婦合算で約550万円)では、年間支払い額は137.5万円(月約11.5万円)が上限です。
今回の試算では、月11.5万円の支払いが想定されており、まさに限界値に達しています。
このような状況では、以下のリスクを考える必要があります:
- 予期せぬ収入減少(病気やケガ、非常勤雇用の不安定さ)。
- 子供の教育費(特に大学進学の場合、数百万円が必要)。
- 老後資金(公的年金だけでは足りず、追加の貯蓄が求められる)。
補足事例
例えば、年収が50万円減少した場合、年間支払い割合は25%を超え、家計への負担がさらに重くなります。
こうしたシナリオも想定し、月々の支払いを調整する柔軟性を持つことが重要です。
2. 購入物件に対する支払い計画の考え方
奥様がおっしゃる通り、現在の家賃・光熱費などを合算すると12〜13万円です。
それに比べると、月11.5万円のローンは「なんとか支払える」と思える金額かもしれません。
しかし、以下の点にも注意が必要です:
光熱費の削減効果は過信しない
太陽光リースや断熱性の高い住宅は、確かに光熱費を削減できます。
ただし、リース代(月4,980円)は15年間発生し、その間は完全な削減とは言えません。
また、予期せぬ修繕費が発生する可能性も考慮すべきです。
老後も見据えた計画を
35年ローンで支払いが76歳まで続く場合、老後の収入が現役時代より大幅に減少します。
65歳以降もローンを支払う場合、現時点から老後資金を計画的に積み立てる必要があります。
3. より現実的な選択肢を検討する
4300万円の物件を選択する場合は、夫婦で協力して生活の見直しを進めることが求められます。
しかし、無理をして購入することで、精神的・身体的な負担が増えれば本末転倒です。
建売物件や中古物件の検討
お問い合わせの中にあった「建売3300万円」の選択肢は、現実的な代替案として有力です。
以下のような利点があります:
- ローン額が減少:毎月の支払いを抑えられ、家計に余裕を持たせることが可能。
- 老後資金の確保:浮いた資金を教育費や貯蓄に回せる。
- 物件比較の視点:広い庭や駐車場など、生活の快適性を重視した選択も可能。

まとめ:バランスの取れた選択を
今回のケースでは、「家族の理想」と「家計の現実」のバランスを取ることが鍵です。
4300万円の物件が理想的である一方で、現時点の収入状況や老後資金への懸念を考慮すると、もう一度予算やプランを見直す余地があると考えられます。
まずは、以下のステップで再検討してみてはいかがでしょうか:
1.現在の支出の棚卸し:支出を見直し、無駄を削減する余地を確認する。
2.建売物件の再検討:生活の質を保ちながら、無理のない予算に抑える。
3.ファイナンシャルプランナーへの相談:中立的な視点から、ライフプラン全体を見直す。
最後に、住宅購入は「家族全員が安心して暮らせる場」を得るためのものです。
経済的な無理をすることで家族関係に悪影響が出ることのないよう、慎重に検討を進めてください。