マイホームの新築を計画されている方にとって、バリアフリー対策は重要な検討事項のひとつです。
特に高齢の親と同居する場合には、玄関や階段などの安全対策を事前に考えておきたいという声が多く寄せられます。
今回は、次のようなお問い合わせを目にしました。
お問い合わせの要点
- 家を新築する際に、高齢の親のために玄関ポーチに手すりを設置したい。
- 新築工事中に手すりを設置する場合、介護保険は適用できるのか?
- 完成後に後付けする形であれば、介護保険が適用されるのか?
- 介護保険を利用した方が、費用を抑えられるのか?
このような疑問にお答えしながら、介護保険適用の可否やその手続きについて詳しく解説していきます。
介護保険が適用される条件とは?
介護保険を利用して住宅改修を行うためには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 要介護(1〜5)または要支援(1・2)の認定を受けていること
介護保険は、認定を受けた方の自立支援や安全確保を目的とした制度です。
高齢の親御さんが要介護または要支援認定を受けているかどうかを、まず確認しましょう。
2. 対象となる住宅改修工事であること
介護保険が適用される住宅改修には、次のような例が含まれます。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 滑り防止や移動円滑化のための床材変更
- 引き戸への交換や扉の撤去
- 洋式便器への交換
玄関の手すり設置は、上記に該当するため、条件を満たせば介護保険の適用が可能です。
新築工事中の手すり設置は適用できる?
結論から申し上げると、新築工事中に手すりを設置する場合は介護保険の適用外です。
介護保険は原則として、「現に居住している住宅」に対する改修工事を対象としています。
補足:新築時に適用できない理由
介護保険は、住み始めた後に生じた不便を解消するための改修をサポートする制度です。
したがって、新築工事そのものは「住み始める前の工事」に該当し、適用対象外とされています。
引き渡し後の後付けなら適用できる?
はい、引き渡し後に手すりを後付けする形であれば、介護保険の適用が可能です。
適用のための手順
1. 住民票を移す
新居に住民票を移し、正式に居住することが条件です。
2. ケアマネージャーに相談する
ケアマネージャーを通じて、改修計画の相談と見積もりを行います。
3. 事前申請を行う
市町村に必要書類(住宅改修理由書や改修計画書)を提出し、申請許可を得ます。
4. 工事を実施し、申請手続きを完了する
工事完了後に費用の領収書を提出し、介護保険の補助を受ける形です。
介護保険を利用することで費用は抑えられる?
介護保険では、1人につき上限20万円までの改修費用が補助されます(自己負担は1〜3割)。
例えば、10万円の手すり設置費用が発生した場合、自己負担額は1万円〜3万円程度に抑えることができます。
事例:手すり設置費用シミュレーション
- 改修工事費用:10万円
- 介護保険適用後の自己負担:
- 1割負担の場合:1万円
- 2割負担の場合:2万円
- 3割負担の場合:3万円
まとめ:最適な対応策は?
新築工事中に玄関ポーチへ手すりを設置する場合は、介護保険の適用が難しいことが分かりました。
しかし、引き渡し後に改めて後付け工事を行えば、介護保険を利用して費用負担を軽減できます。
ポイントの整理
- 新築工事中は介護保険の適用対象外。
- 引き渡し後、住民票を移してから申請すれば適用可能。
- 費用を抑えたい場合は、後付け工事を検討し、介護保険を活用するのが合理的。
おわりに
今回取り上げた介護保険を活用した手すり設置に関する情報が、マイホームの計画を進めるうえでお役に立てれば幸いです。
今後も、住まいづくりに関する具体的なご質問や疑問を取り上げながら、分かりやすく解説していきますので、ぜひ引き続きご覧ください。