補助金が使えると思ったら、もう終わっていた?

建築士の私が改めて気づいた「公的支援制度」の落とし穴

先日、YouTubeを見ていた時のことです。
動画の途中で流れてきた広告に思わず目が留まりました。

その広告では、
「補助金を活用して太陽光発電と蓄電池を設置すれば、電気代が実質ゼロになる」
という内容が紹介されていました。

最近は電気代の上昇も続いています。
建築士という仕事柄、省エネ設備や住宅性能については一定の知識を持っているつもりでしたが、それでも興味を引かれました。
そこで資料請求をしてみることにしたのです。

ところが、その後のやり取りの中で、私はひとつの重要な事実に気付くことになりました。


住まいの夢 研究室
監修・執筆

大場 忠浩


物流センターやデータセンターなどの大規模建築プロジェクト経験を活かし、後悔しない家づくり情報を発信しています。


「補助金が使える」という話だったのに・・・

業者の方から説明を受けると、
太陽光発電や蓄電池を導入することで、

  • 電気代を削減できる
  • 災害時の備えになる
  • 将来的なメリットも大きい

という話でした。
ここまでは理解できます。

実際に設備そのものには一定の価値があります。
しかし話を進めるうちに、
私は違和感を覚えました。

なぜなら、
広告では補助金の話が中心だったにもかかわらず、
実際には、
「その補助金は既に受付が終了しています」
と言われたからです。

ではなぜ広告が流れているのか?

私は正直、
「えっ?もう終わっているの?」
と思いました。

補助金が使えると思って問い合わせたにもかかわらず、
実際には利用できなかったからです。
もちろん業者の方も嘘をついていたわけではありません。

ただ、
広告を見た側としては、
まだ利用できるような印象を受けていたのも事実です。

住宅業界に限らず、
補助金をきっかけに問い合わせを集める広告は数多くあります。
しかし補助金には、
実は多くの方が知らない特徴があります。

補助金は「いつでも使える制度」ではない

私自身、この出来事をきっかけに改めて確認してみました。
すると、
補助金には共通する特徴がありました。

それは、

「期限がある」

ということです。

補助金には必ず締切がある

多くの補助金には、
募集開始日と募集終了日があります。
さらに、
募集期間中であっても、
予算が無くなれば終了することがあります。

つまり、
「知った時には終わっていた」
ということが普通に起こるのです。

私が問い合わせたケースも、まさにそれでした。

予算にも上限がある

補助金は無限に支給されるわけではありません。
国や自治体が、
「今年は住宅の省エネ化を促進しよう」
と予算を組み、
その範囲内で支給されます。

たとえば、

  • 太陽光発電
  • 蓄電池
  • 断熱改修
  • 高効率給湯器

などの支援制度があったとしても、
申請が集中すれば予定より早く終了することがあります。

我が家が最終的に導入を見送った理由

設備導入の見積りは、
確か数百万円規模だったと記憶しています。
説明では、
「○年程度で回収できる」
「その後は電気代負担が大きく減る」
とのことでした。

理屈としては理解できます。
しかし私は妻に相談しました。
すると返ってきた答えは非常にシンプルでした。
「そんなお金があるなら、もっと別のことに使ってほしい」
でした。

その一言で私は冷静になりました。
本当に必要なのか。
今の家計に合っているのか。
補助金が無い状態でも納得できる投資なのか。

改めて考えた結果、
今回は見送ることにしました。

補助金を活用する時に大切なこと

この経験から感じたのは、
補助金はあくまで
「後押し」
であって、
設備導入そのものの価値とは分けて考えるべきだということです。

もし、
補助金があるから導入する。
補助金がなければ導入しない。
という状態であれば、
一度立ち止まって考える価値があります。

こんな経験をしたからこそ思うこと

今回の件で私が強く感じたのは、
「補助金が使えるかどうか」よりも、
「その設備や工事が本当に必要なのか」を先に考えるべきだということです。

もし補助金が無かったとしても導入したいと思えるなら、その設備には価値があります。
逆に、補助金が無ければ導入しないのであれば、
一度立ち止まって考えてみる価値があるかもしれません。

補助金・助成金・基金・保険は何が違うのか

ここで少し整理しておきましょう。

住宅や暮らしに関わる公的支援制度には、
大きく次の4種類があります。


補助金

👉 政策目的のために支給されるお金

住宅の省エネ化や防災対策など、
行政が推進したい取り組みに対して支給されます。

募集期間や予算上限があるため、
「今募集しているか」
「工事前申請が必要か」
を確認することが大切です。


助成金

👉 一定条件を満たせば利用できる支援制度

子育て支援や介護支援など、
暮らしを支える制度として設けられているものが多くあります。

所得制限や対象者の条件があるため、
自分や家族が対象になるかを最初に確認してみましょう。


基金

👉 特定目的のために積み立てられた財源

一般の方が直接利用するというよりも、
補助金や助成金の原資として活用されることが多い仕組みです。

制度名に「○○基金」と書かれている場合は、
その基金を活用した支援制度がないか調べてみる価値があります。


保険

👉 将来のリスクに備える制度

火災保険や介護保険など、あらかじめ加入しておくことで、
必要なときに給付や支援を受けられます。

補助金と違い、加入条件や給付条件が決まっているため、
「どんな場合に使えるのか」を事前に把握しておくことが重要です。


これらは似ているようで役割が異なります。

共通して言えるのは、
知らなければ利用できない ということです。

ただし、私自身も今回の経験を通じて感じましたが、
『制度の名前を知ること』よりも、
『自分が対象になるのか』を確認することの方が、
実はずっと大切です。

公的支援制度を探すなら、まずここを見る

私が建築士としてお客様にお伝えするなら、
まず確認してほしいのは次の順番です。

① 市区町村

② 都道府県

③ 国の制度

意外にも、
市区町村独自の制度が最も使いやすいケースがあります。

建築士として今ならこう考える

今回の経験を振り返ると、
私自身、
補助金が使えるかどうかばかりに意識が向いていました。

しかし本来考えるべき順番は逆です。
まず、
その設備や工事が本当に必要なのか。
その上で、
利用できる制度があれば活用する。

これが正しい順番だと思います。

まとめ

補助金や助成金は、暮らしを支えてくれるありがたい制度です。
しかし、

  • 募集期間がある
  • 予算上限がある
  • 条件がある

という特徴があります。

私自身も、
「補助金が使えると思ったら、既に終わっていた」
という経験を通じて、そのことを改めて実感しました。

住宅の新築やリフォーム、省エネ設備の導入を考える際は、
まず制度の有無を確認すること。

そして何より、
補助金の有無ではなく、
本当に自分たちの暮らしに必要な投資なのかを考えること。

それが後悔しない住まいづくりにつながると感じています。


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